大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)6795号 判決
〔判決理由〕一、請求原因一(一)乃至(五)は当事者間に争いない。
二、原告は右事故により前頭部打撲裂創、右大腿骨々折の傷害を受け、昭和四二年七月一六日から同年一二月一八日まで伊藤病院に入院し、次いでキュンケャー針除去のため昭和四三年四月一六日から同年五月一九日まで及び同年六月四日から同年七月二日まで済生会中津病院に通院(実日数五日)し、この間同年五月二〇日から同年六月三日まで一五日間入院した。(甲三号証、四号証、一六号証)
三、本件事故が被告山中の過失により発生したこと、事故車が被告会社の所有であることは当事者間に争いない。
四、被告山中は被告会社代表者の次男で、熔接・プレス等の手伝をしていた者であるが、当時運転免許をとつて一、二ケ月であつたので、被告会社代表者としても事故車を私用で使用してはいけないと常々言つてはいたが、車でウロウロすることは知つていたので、内心それぐらいなら良いだろうと思つていたものであるところ、昭和四二年七月一五日午後九時頃、自宅の父の机の上に置いてあつたキーを持出し、友人の宝野と共に姫路市内・手柄山などをドライブして廻り、同日午後一二時頃日本モーテルに下車して食事をした。同所で原告及び佐々山京子と知り合い、依頼を受けて同女らを大阪まで送ることとなり翌一六日午前〇時一五分頃、同所を発車し、車中で須磨で遊ぶ話がまとまり、同日午前三時半頃、同所に到着、被告山中及び原告は約一時間水泳をした後被告山中は更に同女らを尼崎まで送るべく、同日午前四時半頃同所を出発したが、本件事故現場附近においては被告山中以外は皆ねてしまい、被告山中も睡気と空腹のためハンドルにもたれるようにして右片手で運転中、手がすべつてハンドル操作が出来なくなり歩道に乗り上げ、街路樹を倒し、街路灯に衝突した。
以上の事実からすると、被告会社の運行供用者責任は免れないが、原告は本件事故につき全く他人の地位にあるものではなく、その三割を失つたものと解するのが相当である。又、被告山中に対する原告の請求権も、原告が全く面識のない被告山中運転の事故車に同乗したうえ、須磨海水浴場で同人と約一時間にわたり海水浴をし、更に休憩をとることもなく更に同人の運転する事故車に同乗し、自らも事故直前はねこんでいたことから原告らも危険の素因を出現したものとしてその損害の全額を同被告に負担させるのは妥当でなく、その三割を減ずるのが公平の観念上相当と認める。(菅納一郎)